ドーナツの穴

キモ度の高い備忘録です

Fab 個人感想

 Fab-Live speaks.-個人感想とは

 個人感想とは、当方がライブや生放送などがあった時などにゲリラ的に行われるただの感想のこと。備忘録ともいう。

 今回は3日間の公演すべてを視聴して感じた個人のハイライトやパフォーマンスについての感想を超個人的な目線で書いていく。

  本当に長いし個人的なので、そういうのが耐えられない人は見ないほうがいいと思う。

 

 個人感想本編

 

山田涼介
 赤髪の貴公子。ブラッドオレンジだろうが深紅だろうが3日間決して崩れることのないビジュアルの提供をありがとう。山田くんはメンバー内でもぶっちぎりで歌声が安定しているとともにそれが癖がなくて耳に入りやすいのが改めて分かった。それは今回だけじゃなくて例えば2020年のMステクリスマス放送とかでも感じられたことだが、バラードの安定具合が桁外れに良い。好きなものに一直線な彼の努力の結晶。
 3日目はいろいろあるお陰か、当方の目には少しばかり元気がない日の山田涼介みたいに見えたんだが知念宅にお邪魔したあたりからそれが杞憂だったことに気づいてしまった。世界に誇るセンターのパーティー眼鏡に、私の腹筋は6つに割れ板チョコになった。
 あと今回驚いたのが伊野尾くんとの絡みの多さで、混乱と混沌のNapaに突き落とされたヲタクは数知れないだろうと思う。フロア大熱狂now party。これからもどんどん風紀委員と買い出し係として関係を深めていってほしい。
 ステージの上では完璧なアイドルを”演じて”くれていると思っているので、私情は歌に乗せないのが彼のやさしさでもあって、妥協点だったのかなと思った。何度も言うけど本当のことは何もわからないから、笑顔で肩を組んで、一緒に幕を下ろしてくれたアイドル山田涼介に、たくさんの感謝を送るべきなのだと、今になってやっと気持ちの整理がついた気がする。「ヒカリサス」で前を向いて笑ってくれた時の周りのメンバーの表情ごと、きっと忘れないだろう。

 

知念侑李
 あまりにも楽しそうにコメントをしたり、揚げ足取りをするから、多分普段もああいう風にメンバーと喋ってたんだろうなと感じた。決して中央に陣取るわけでもなく、端の方からたまに顔を出してけらけら笑いながら話に参加して、またふらりと違うほうを向いて他のメンバーと顔を見合わせていたずらが成功したときの子供の顔をするのがたまらなく愛おしかった。
 なんだかんだで滅茶苦茶に歌のスキルが高いのをまざまざと見せつけられた。知念くんが歌で真価を発揮する曲は大体コアな層から人気があって、なかなかコンサートで披露されることが少ないような曲が多かった(「Farewell」なんでやらないの?)気がするし、まず彼が歌で覇権を握ることが少ないので、「Liar」や「ナイモノネダリ」などのアピールタイムが少しずつ入るものの確実に”刺してくる”曲がセットリストとして出来上がっていくのが感じられた。「ちいちゃんのうたをきけ」デッキいつか披露してくれ。
 ダンスに関してはovertureのピノキオ姿然り、全幅の信頼を置きすぎているのだが、「MANTRA」でミスしちゃうのはさすがに遠足前の子供みたいで可愛らしかった。見えなかったが。「try&error」Aメロで薮&高木の膝の上で見下しながら腕を振るのが完全にレジスタンスの顔をしていてかっこよかった。宙を舞って高く飛んでいつもより少し高いところからメンバーの後ろ姿を眺めるのはどんな気分だっただろう、あの一瞬に考察を重ねるのは野暮だけど、「後ろに行ってしまったら見えないよ」「知念は前に来な」と進行形で言われて、「僕は2番目に書いてください」と主張していた知念くんがメンバーに支えられながらも、その存在を強くアピールするのを見て、少しうるっとしてしまったという話。

 

中島裕翔
 overtureでメンバーがヒロインやヒーローや王子様などの登場人物を演じた中、唯一ヴィランになったのが凄く新鮮だった。そう考えると、裕翔くんはピーターパンの側面と、キャプテン・フックの側面の両方を持っている気がする。けれど、敢えて去っていくピーターパンではなく、いずれワニの腹の中に消える悪役に抜擢されたというところ、なかなかに興味深かった。ただ単に顔の良さで選ばれただけでもいい、だって本当に顔がいいから。
 歌、目に見えてめきめきと、という表現がぴったり。歌にあわせて歌い方を変えるようになったよね、と薮に言われていたのが一昨年くらいの出来事だったと思うが、『Fab』では全曲通して裕翔くんのソロがすごく印象に残った。「Jazzy Cut」なんて裕翔で始まり裕翔で終わるというストーリーテラーどころか正真正銘音楽隊のどセンターだと思ったのに選考漏れするんだもんなぁ。去年のぱらで(PARADE)でも序盤にファンファーレ→スタタイという裕翔始まりの連続があったんだが、やはり”任されるようになった”のだと思う。演技で様々な人間になってきたように、歌で演技をしているような、彼なりのストーリーやイメージを持って音に乗せているのだとしたら、これからも楽しみでならない。
 だがしかし、「こら!中島席に着け!」と何回叫んだか。マジックハンドでタンバリンを鳴らし、翌日にはそのタンバリンを粉砕するという日付を超えた一人コントを披露してくれたり、突然アンジェラ・アキ広瀬香美だったかも)になったり桜投げつけたりと終始飽きさせないパフォーマンスをお送りしてくれた。始まりは彼で、それを見てメンバーが笑い、じゃあ俺も、と次の流れができる。そのころにはもう彼は”こちら側”でそれを見て口を大きく開けて笑っている。教室の後ろで繰り広げられる、そこにいた子たちにしか分からないノリ。たまについていけないけど、輪に混ぜてくれてありがとう。もう授業始まるから席に着こうね。
 会場を縦に走った彼がいなかった時(より前からだったけど)、裕翔くんは横に走って端から端までのお客さんによく手を振っていた。ずっと笑顔で友達を見送って手を振っていた、きっと何かを思いながら。出会ったころを思い出すより、これからの話ができる世界が彼らのなかと、その周りにに存在していてほしい。

 

有岡大貴
 クレジット構成部分の1番最初に名前が書かれる男。今回は職人芸が光った技巧派だったなという印象。個人的に2日目はかなり彼の舞台だった気がする。決してハンドマイクのミスがあったから1日目外してるとかそういうわけではない。「闇の先~」はまさに彼のための曲みたいなところあるし、しっかりその期待に応えて”以上”もつけてくれるところにもう心が奪われた。本当に欲しいところで欲しい言葉をくれるのはこちらを理解してくれているのか、彼の本質なのか。これが「有岡大貴」から抜け出せない理由、お前の負けです。
 「Fab-ism」から「Liar」までの一連の流れでの随所に有岡くんのいろんな良さというか、強みが散りばめられている気がした。可愛い甘い歌声、やんちゃな歌声、女を鼻で笑うような悪い男の歌声、激しくキレるダンス、コミカルなダンス、歌のお兄さんみのあるアイドルダンス…普段笑われている人ほど、本当に見せたい人にしか真の姿を見せないのかな、と。アイドル、という言葉を軽視しているわけではないけれど、アーティストという言葉を使いたいときもあった。ちなみに個人的イチオシポイントはキスユアのサビ前の抜かれ、あれはちゃんとカメラのタイミングを理解して確キル取ろうとしてたし、2日目と3日目に全く同じ「サビ前のデ!?!?!(大貴のこと)」というレポを書いた。
 彼が確実にページを捲っていたシーンが多かったのも印象に残った。彼自身が捲らなくても、誰かに彼が捲らせていたというか、やはりすべては脚本(という名の構成)の上で物語として、ストーリーを進める役の有岡くんが動かしていたのかと思うほどに。自分は願望を入れないという前提を置けば彼が一番浮世離れしているというか、ラスボスというか、誤解を恐れず言うなら、人間じゃない何かだと思っている節があるので、その役割が委ねられてるのは何となく解釈一致だった。とはいっても一度メンバーと会話を交わせばマイクは忘れるし声真似は下手くそなので、そこで安心して”いつもの”有岡くんだなと思うのだ。「め」で頭が取れる勢いでフロアを湧かし始めた時、私の腹筋は以下略…

 

八乙女光
 白髪の騎士。顔がいちいちキレイなのが本当に目に毒。この人のビジュアルは人の心を狂わせる力を持っているので長く見ていられない。確かにちょっと痩せてるなと感じた。でも痩せてるほうが個人的には好きだけど体の厚みがあるのもまた譲れず好き。閑話休題。後半からの追い上げが凄いタイプのパフォーマー。「クランメリア」では抜かれ時間が長い部類のメンバーの中でも特に自身の一番かっこよく見える角度と目線の配り方と歌い方で本当に計算しつくされていたかっこよさだったと思う。現場でしか見られない顔が多くあるのはこの人を生で見たことある人じゃないとわからないと思う。ちゃんとステージ用の顔を持っていて、魅せるところを理解できて(きたのは最近だけど)いると思う。
 「千夜一夜」でAメロに挟まれた間奏開けという変化を求められつつ同様のメロディーラインである前のパートと比べられやすい箇所を任されていたけど、カメラワークによって鮮明になる「静と動」をうまく利用していたと思う。そしてアウトロで8人が炎と布に囲まれた外周を踊り子のように舞う場面で一番先に遠くから抜かれているのが彼で、その洗練された動きとシルエットに感動してしまった。あれってアウトロからはもうアップにならずに、全景を映しているからこそ体の使い方を意識するべきところだと思うんだが、光くんは横からのアングルが特に綺麗で、まるで本当に何かに祈りを捧げているかのような、それでいて大きなものを構成しているうちの一部であるということが一瞬で伝わってきた。自分が「千夜一夜」に関してはこの公演を通して1,2を争うくらいに好きな構成になったのは、最後の最後まで魅せてくれた光くんも一役二役買っていると思う。
 自ら前に出てギャグをやっていた時代、鋭い突っ込みを入れていた時代を過ぎて、メンバーから弄られることも増え、彼自身の性格もトークの持っていきかたも周りに合わせて随分変わっていったと思う。最近ではメンバーの話を聞いて笑う聞き手に回ることも多くなって、ふとした時に話題を提供してくれる役回りも増えてきた。自分が出なきゃいけない、ではなく、任せられる仲間が信頼できるようになった証拠だとプラスに捉えていいと思う。だからこそ、決してセンターに近い場所にいるわけではない彼が、手を伸ばして、触れて、「俺はここにいる、お前もここにいる」と伝えたがっている場面が今回は多かった気がした。守りたいものが確かに心の中にあって、伝えたい思いを不器用ながらも彼らしい方法で他の誰かに届けられるようになったのも、いつからか出来るようになっていたのだと感じた。

 

伊野尾慧
 まずどこから話せばいいのか迷う人。「緊張が手に出やすいから、手を隠しておきなね」と言われる人が緊張する可能性1000%の舞台でピアノを弾くんだから、なんとも毎回試練を与えるなと感じているのだけど、よく見るとほんの少しだけ顔もこわばっていて、今回は本当に緊張しているんだとひしひし伝わってきた。一回きりの舞台では特に緊張してしまうのはいつか言っていたような気がするし、それはスケールは違えど、何となく一般人にも理解できる感情だと思う。ジャケットを脱いで他のメンバーに見守られながら一人で噓も誤魔化しも通用しない場所に向かうのは、どんな仕事で味わう緊張感にも代えがたいと思う。あの時一瞬ちらりとその背中に向けられたメンバーの視線で、実は緊張しているのは彼だけではなくて、彼を見守る同じ舞台を作り上げる仲間も同じだったのかもしれない。歌詞を間違えてしまった可愛いセンターの「緊張が伝播した」もあながち嘘ではないと思った。時間がない中2曲も練習を重ねてきっと余裕がある状態とは言えなかっただろうし、その上「あなた想い」では出だしのパート、落ちサビ前という注目される箇所をソロで弾き語りの形で歌わなければならない。震えた指と声にはそれでも彼らしい優しい感情が詰まっていたと思う。大舞台を一度完成させた彼が満足げに笑ってメインステージに歩いていく姿を見て、大きな拍手を送らずにいられなかった。
 人との付き合い方を変えたんじゃないかと思った。流行り病のせいかもしれないし、彼の中で、もしくは彼とメンバーの中で何か変化があったのかもしれない。”素性が知れない”、”不思議系”と謳われるけれど、この人はすごく人間らしい人間で、とても優しくて、繊細で豊かな心を持っている人だと自分は思っている。(本当に悪く言っているわけではないと信じてほしいが、有岡くんよりずっと”リアル”だ。)酷く心を痛めているのに、そこに希望を感じられるからと涙を流すことだってあったし、表に出さないようにしているだけで、本当は隠している感情がたくさんたくさんあって、それがどうしても滲み出てしまう瞬間、隣にはいつもメンバーがいてくれたように見えた。繋ぐ力もなくなってしまうような手をそっと握ってくれたメンバーに対して、最近強く握り返すようになったような、そんな力強さを感じるようになった。(後から見返したら多分速攻記事消したくなりそうな表現)だから伊野尾くんが楽しそうに笑っていると嬉しいし、なんだか泣いてしまいそうになるんだろう。

 

髙木雄也
 だいぶ痩せたように見えた。舞台の準備期間ということもあると思うが、体力を使う限定された期間で綺麗なスタイルを用意してきたのはまさにプロの所業と言っていいと思う。初めてのミュージカル、初めてのリハーサルへの参加日数、初めてのライブ配信、初めてのことばかりでとっても大変だったと思うし、焦りもあったことは自ら漏らしていた。高木くんはとても真面目で責任感のある人で、それ故に与えられた大役に向かって試行錯誤を繰り返して努力を積み重ねることができる人だと思うし、それを人に見せることを躊躇わない。自信をもって「ちゃんと見ててね」と発言で、パフォーマンスで伝えてくれる。自信に満ちた彼の目が大好きで、その目で射抜かれた時には、この世でこの覇気に勝てる人はそうそういないと感じるほどだ。「try&error」では高難易度のダンスパフォーマンスを求められたが、しっかり曲を構成する一部分として動きが完成されていた。群衆の一部だったはずの彼がセンターにふっと出てきて歌い踊るときの第一印象は、他のメンバーと比べてだいぶ違うのではないかと思う。それは歌声はもちろん、それに負けない力強いダンスと表情。紛れもなくアイドルであり、パーフォーマーなのだと確信できる。だからこそもっとダンス曲での見せ場が増えればいいと思う。なんたって”遠慮なんかしてちゃ損”なのだから。
 光くんと同じように、髙木くんもよく「静観」の姿勢をとる人だと昔から感じている。それは彼のポリシーというか、「こうあるべき」という理想や誰かからの教えに基づくものであることがよくわかる。けれど思いを伝えるのがとてもうまい人だと思う。それは決して元気いっぱいなものではないけど、真の通った、時に少し回りくどいこともあるけれど、確かにその意図を感じるもの。何も言わないけど、と前置きしていてもきちんと思いがあって、それを何らかの形で示してくれる。それをうまく受け取れた時に初めて彼の真心というものを感じられる気がする。「ここにいて」、と歌う彼はある日は叫ぶように笑っていたし、ある日は語り掛けるように優しかった。変化については彼の気分次第かもしれない、けれどそれは決して懇願ではなくて、そこに静かな安心感を感じられた。いつか「そこ」で彼なりに楽しんでいる姿を見つけ出したい。余談ではあるが、今回MCを少人数体制で行う時間があったことで、彼のトークの回し方に以前より力がついていることがしっかり分かった。台本の無い場所でも話をつないだり振ったりできるようになっていることに軽く衝撃を受けてしまったので、髙木雄也という人間の情報のアップデートを怠っていたことに気づかされた。

 

薮宏太
 やっぱり自分はこの人の歌が好きなんだと、歌う現場のたびに何回も思う。今回は気持ちよさそうに、そして楽しそうに歌っているのが特に印象に残った。それは明るい雰囲気の曲ならもちろん、かっこいい曲でも、しんみりしたバラードでも。気持ちよさそうに、楽しそうに歌っていた。幻想かもしれないけど、薮くんの歌声にはパワーがあって、それが波のように広がっていく感じ。もしくは何もない夜空に現れる一筋の流星。見る人聞く人を一瞬で引き付ける何かを手にした人だと思ってる。中でもキスユアは別格で、「狼」の曲終わりの静寂を切り裂くように入る歌いだしは、初日から3日目までで徐々にブラッシュアップがなされていった気がする。あれをじっと聞いてるメンバー、正直めちゃくちゃ羨ましいからどんな気分で聞いているかだけ教えてほしい。「Liar」での間の抜けたおふざけも、米印でめちゃくちゃうまいと入れたくなるような伸びやかな声だった。ふざけているんだけどスキルは馬鹿みたいにある、というのが強キャラ薮宏太を表しているようで一人でなぜか鼻が高かった。そんな中、ただひたすらに言葉紡いだ2日目冒頭のバラードコーナー、「アイドルとファン」としてのラブソングである「闇の先~」では希望を感じられるようなソロパートを披露してくれた。終盤のフェイクでは、メンバーが「僕たちを信じて」と合唱する中、闇の先へと歩くために薮くんが皆を引っ張ってくれていく力さえ感じた。伊野尾くんがピアノを弾いてくれた「あなた想い」は「私とあなた」のラブソング、誰かに恋焦がれて儚く散った痛みと涙の温かさを感じた。2曲のバラードでもこんなにも歌い方が違うものかと驚いた。落ちサビ前ではピアノ前を陣取り、なんと伊野尾くんとソロパートの受け渡しを行っていておったまげた。こんなの、この2人の曲になってしまうじゃないか。わたしが死んだ時にはぜひ葬式で流してほしいと切に願う。ちなみにこの日から「あなた想い」を聞く回数は段違いに増えた。
 照れ屋ですぐ笑ってしまう彼が、どうやってあの”来るもの全部抱いてきた”みたいなオーラの男を演出できるのかがたまに不思議になってくる。「クランメリア」は正直2番がメインだと思っていたのに、まさかサビのダブルボイスがグループ二大ボーカル(じま調べ)で歌うとは。ここで面白いのが、この二人、バラードのハーモニーなら敵知らずなものの、この二人の歌い方自体はおそらくビリーフが全く異なっているということ。好きな音楽も違えば自ずと歌い方も変わってくるのだと思う。今回はあくまでも主旋はセンターに預け、深みを出すためのコーラスに徹していたのがまた味を出していた。歌声もダンスも切れ味が鋭く、攻めの姿勢であるセンターに対し、薮くんのソロパートは「抱きしめてよ さあ」のみ。しかしここで見せなければいつ、という心意気を存分に感じられた。さらにこの二人の対比が最も感じられるのが「どろどろに」で抜かれる瞬間である。この歌詞で2回同じ振り付けを行ったわけだが、ここまで変わるかというくらいに表現が違う。どちらも”らしさ”が出ていてとても良かったので、映像化された際にはぜひ注目してほしい部分である。
 ダンスについて触れたのでその点についてだが、オブラートを焼き払うと、最近は、薮くんてこんなにダンスうまかったっけ?となることが多々ある。「千夜一夜」のアウトロでは後ろ姿が数秒映るシーンがあったが、初見では恥ずかしながら薮くんとは思えず、他の誰かだと思って、あの人ダンスうまいな、など思っていた。いわゆる攻めたダンス-最近JUMPで多用されるようなサウンドで踊るのはどちらかというと不向きだと本人か誰かが漏らしていたような記憶がある。彼の本分は長い手足や体を大きく使えるようなダンスで発揮されるのだろう。確かにアップテンポの曲で隣に他のメンバーに立たれるとどうしても比べてしまう自分がいるのは認めざるを得ない。(もちろん踊れてるだけでめちゃくちゃ凄い)しかし彼はそういう曲の2サビ周りを任されることが多くなった。(BANGERが分かり易い例)2番というのはフルサイズでないとなかなか披露されない所謂”課金コンテンツ”である。テレビサイズという一週目をクリアした後にライブや原曲を聞いた人、最初から聞いていてフルサイズで聞くことに意味があるとドヤ顔をするヲタク(もれなく私)が二週目としてそこを聞く、見ることで目にする、「俺の出番かな」と言わんばかりに飛び出してくる彼が堪らなく好きなのである。「try&error」のサビ部分でセンターで踊る山田くんを操るようにして薮くんが後ろに陣取っていたのを見て、あの場所が「裏ボス・薮宏太」としてのポジションだと思った。
 裏ボスとはいったものの、要はこのメンバーを引っ張ったり後ろから押したりして、どんな形であろうとグループを前に進めようとしていた存在として長年その役割を築いていたということだ。「もうちっちゃかった彼らも大人になって」「今は俺の方がこどもっぽいから」と子育てを終えた母親のように話すことはあれど、グループ全体の意識として、彼が精神的な柱の一本であることはそう簡単に変えられることではない。それはファンにとっても同じなのではないかと思っている。彼が話を始めた時に感じる緊張感と安心感のちょうど良さ。いいことも悪いことも、彼の口から伝えられてきたからこそ信じられるものがあると、そのことを信じていたい。忘れたくても忘れられない瞬間を、ぎこちなくも笑顔で締めくくってくれたのは、最後に下げた頭ではなくみんなの顔が見られたのは、「顔上げて」と最後に母親的な後押し、背中を押してくれた彼のおかげである。周りから文字通り頭ひとつ抜けた場所からメンバーを見下ろして、愛おしそうにその頭を撫でて、ぎゅっと少しがさつに抱き寄せてくれる仕草があって、何よりそれをしている彼の表情自体がとても幸せそうに笑っているから、みんなが彼を慕う。そんな彼でいてくれていることを私はとても嬉しく思うし、そう在ることを許してくれるHey!Say!JUMPというグループにいつも感謝している。


 いや最後だけ長くないか?と感じたのは間違いではないと思う。普段はなかなかこんなに長文で思いを綴ることなんてないので許してほしい。

 

 個人編終了。あくまで人についてしか述べていないので、気が向いたり思い出したりしたら他のことについても書いたりするかも。